天使の翼
  • Information
  • SF小説『天使の翼』
  • Materials
  • Ameblo

2018.05

2018.05.12 09:52

『天使の翼』第8章(65)

 グリンフィールド査察官は、駄目を押した―― 「私は、准大公である。そこに跪け!」 ――査察官は、通例、調査対象以上の爵位を有している。 そして、グリンフィールドは、位階呈示装置を作動させた――右手の平を体の前にかざして、「ハー」と静かに息を吐いたのだ。 右手の前の何もない空間に、鮮やかな金文字がきらきらと浮かび出た。 『GRAND DUKE』―― 1WOPの疑念もなかった。 まだ一度も使ってない...

2018.05.03 08:57

『天使の翼』第8章(64)

 次の瞬間、わたしの首筋を吹き抜ける風圧と共に、暴力的な勢いで、相当の重量物が跳ね倒されるような音が轟いた。 思わず首をすくめていたわたしは、振り返って、薄れていく爆煙の向こうに仄暗い廊下を見た。それは、扉が吹き飛ばされて、ぽっかりと開いた空間だった。 記憶の中の時間は引き延ばされているが、実際には、間髪をおかず、雷光のごとく男達がなだれ込んできた。 『快楽』を突然中断させられ、二人そろって口をあ...

Page Top

Copyright © 2015 天使の翼.

Powered byAmebaOwnd無料でホームページをつくろう