『天使の翼』第5章(48)

 「デイテ?」
 「……は、はい」
 「疲れているだろうけど、もう少し話をしてもいいかい?」
 「ええ」
 「僕たちを襲った黒い宇宙船のことなんだけど……」
 その名を聞いた途端に、わたしは、胃の辺りがきゅんとするのを感じた。
 「君は、確か招待状は五通あったと言ったよね」
 招待状、と聞いて、わたしは、一瞬何のことだか分からなかったが、すぐに思い出した――POPSの総支配人室で見せられた招待状……
 「ええ、実際に見たのは三通だけど。二通は、評判の良くない企業家と領星貴族からのものとかで、ホテルの支配人があらかじめはねていたのよ……」
 わたしは、シャルルの考えていることが分かって、彼の顔をまじまじと見詰めた。わたし達を襲った宇宙船と五通の招待状を結び付けるなんて、わたしは、目の前に転がっていた可能性に気付いてなかった……招待状―人攫い―謎の宇宙船、三つがつながった。
 シャルルは、わたしの様子を見て頷いた。

 「一つの可能性として、というか、今思い付く限りでは最も高い可能性として、五つの招待状の中のどこかに犯人がいるということは、十分に考えられる」
 「何てこと……」
 「もちろん、僕たちを誘拐する必要のないレプゴウ男爵を含めてだよ」
 「えっ?男爵がわたし達を――」
 「僕たちを公式に招待したということを、アリバイに使うことができる」
 わたしは、心の中でうなった。