『天使の翼』第4章(3)

 皇帝陛下!
 場面が変わった。コプリ島の離宮。あの部屋……
 着座した皇帝……
 ああ、皇帝も何か言っている。わたしの視線は、皇帝の口許に吸い寄せられる。
 何を言っているのだろう?何で聞こえないのか?
 ……
 「公爵?……た・い……大公?」
 苦しい。何を言っているのか……もう少しで分かりそうなのに――
 光の乱舞――
 わたしには、結局何も分からない。
 光の乱舞と乱舞の間、次々に浮かび上がる顔、顔、顔……
 シャルル、シーザリオン、ジェフリーズ……テナー大佐……
 わたしは、自分で理解している以上のストレスにさらされていたのだと思う――星図のないサンスへの旅……
 わたしは、夢を見るのをやめた。もう何も見ない、考えない……大丈夫、放っておいていい……今は、ね・む・ろ・う…………