【ミニチュアの効用】――『天使の翼』8、初回投稿!――
『天使の翼』第8章、初回の投稿です!
プライム・サスペクト、スカルラッティ公爵の本国アクィレイアに乗り込んだデイテとシャルルは、そこで出会ったジェーンの助けを借りて、スカルラッティ本人が臨席することの確実な歌合わせ(歌合戦)へのエントリーを目指します。いよいよ、『天使の翼』第2節(詳しくは、ポスト・ページのインフォメーション欄【『天使の翼』第7章、スタート!】をご覧ください)の大団円を迎えました。
さて、恒例となりました『天使の翼』作者を知る謎解き画像、今回は……
うむ、椅子……まてまて、この椅子、お馴染みのチェスト(?)の上に載ってるぞ……なかなか精巧に出来てるようだけど、本物の椅子じゃない……
私は、あまり謎めいたところのない画像に、半ば拍子抜けして、寝室の携帯を取りに行った。
「もしもし?」
「こんばんわ」
「……あの、今回の画像だけど――」
「ミニチュアの椅子よ」
(それは分かってるんだが……)
「あなたが、わたしはモノを集めたがるって馬鹿にするからこの写真をUPしたの」
「そんなこと言った……」
私は、この雲行きの怪しさにぶるっと身震いした。
「あなた、ミニカー集めてたわね」
「う、うん、株で勝った時に、ご褒美で一個買うことにしてる……」
「何で集めるの?」
「……そら、精巧なミニチュアって、いけてるじゃ――」
「そうね、ミニチュアそれ自体の魅力。でも、ミニチュアには、もう二つ効用があるでしょ?」
「……」
私は、正直分からないのと、うかつな返事はできないとの警戒から、貝のようになった。
「ふふ、怖気付いちゃって」
(やばい……)
「たとえば、わたしの大好きな椅子、全部本物で集めてたら、どうなる?」
「……いくらスペースがあっても足りないね」
「そう。何と言ってもミニチュアは場所をとらない。もう一つは?」
「……う~ん……ええと……」
「まどろっこしいわね。時間がないから言うけど、お金が足りないの。あなたの大好きなスーパーカー、全部本物で集めたらどうなる?」
「1台も買う前に破産だな」
「そういうこと、高嶺の花への憧れをちょっとだけ満たす代償行為、それがミニチュア!」
そこで、ぷつんと切れた、電話が。
…………
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