『天使の翼』第7章(2)

 第一に、都市部が極めて広い――
 宇宙から見ると、惑星のその部分は、見た目には、ほとんど大きめの島大陸位はある……今は早朝だが、惑星が自転して夜の側に入れば、人工の明かりで銀色に輝くことだろう……
 アクィレイアに較べれば、銀河帝国の首府アケルナルなど、ちょっと大きめの村、って所だ――もちろん、テラ=アケルナルにコンドミニアムを所有する者として一言言わせてもらうなら、テラ=アケルナルは、銀河帝国第二王朝の首都惑星として、植民段階から、広範な都市計画が実行に移されたのだ。建築上の規制も、当初より一切の妥協なく厳格に守られている。アクィレイアのように無秩序に都市部が増殖することはありえない……ダウンタウンがない、という訳ではないけれど……
 第二に、その都市部が、明確に新旧の両市街に分かたれている――
 宇宙時代の地上都市は、どこも似たり寄ったりで、一面構造物に覆われており、もともとの地表の起伏は、もはや知りようもない。自然を技術力でねじ伏せるように、都市は拡大していく――地上道、そしてエアカー誘導路は、断固として曲線を拒み、どこまでも碁盤の目を描いて直線を延ばしていく……
 アクィレイアは、違った。

 宇宙から見ると、アクィレイアの旧市街は、おどろおどろしい曲線で描かれた太古の象形文字さながらだ。
 アクィレイアの歴史は、非常に古い。植民が始まったのは、地球連合政府時代なのだから……
 アクィレイアがコスモス・カソリクスの聖地で、大司教座が置かれているのも、うべなるかな。