『天使の翼』第6章(24)
わたしは、心の中で叫んでいた――顔は真っ赤になっていたと思う……ついこないだ、遠い昔のことのように思えるけれど、洞窟の中で二人の関係を話した時のことを思い出した。あんまり恥ずかしくて、自分で自分の記憶に蓋をしていたけれど、あの時は、わたしが積極的で、「あなたが好き」だと口走ったのだ……それが、今度は、あの時は冷静だったシャルルが――彼の心の中で、わたしに対する恋愛のスイッチがオンの状態になったのだろうか?人を恋する気持ちは、表面的な理性ではコントロールできない、心の奥底から湧き上がってくる自然な気持ち……
わたしは、単純に嬉しかった!――そう思った瞬間、わたしの心のスイッチもオンになった――
わたしは、がばとシャルルに抱きついた――衝動のおもむくままに――
「もう離さない。あなたを愛してる」
わたしの腕に抱きしめられたシャルルは、嬉しそうにもぞもぞして、ようやくわたしの体を抱き返すと、整った顔をわたしに近づけて、優しく口付けしてきた……ちょっぴり甘えん坊なキス……
わたし達は、憑かれたように接吻を繰り返しながら、お互いを激しく求め合った。
(大好き!大好き!)
「愛してる、シャルル」
わたしは、ほっそりと引き締まった彼の体をぎゅっと力を込めて抱き締めた。
シャルルが、嬉しそうなため息をもらした。
……わたしの柔らかくてあたたかい体を、思いっきりシャルルに感じてもらいたい……心も体もすべてを捧げあって愛し合いたい……
わたしの心の中に、シャルルの着ているものをすべて剥ぎ取って、彼を裸にしたいという欲求が渦巻いた……今まであまり考えないようにしてきたけれど、彼の体ってどんなだろう――
それと意識せぬまま、わたしは、シャルルの上着を、子どもにするように彼の両腕を天井に向けて上げさせて、剥ぎ取っていた。
(ああ……)
わたしは、ほっそりとしているけれど、明らかに女性とは違って肩幅があり、腰に向かってきゅっと引き締まったシャルルの上半身に目を奪われた……つるつるの光沢のある肌をそっと指先でなぞった……うっすらと汗の層におおわれてあたたかい……

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