2017.03.22 15:55『天使の翼』第7章(47) 「わたし、年次感謝祭の教会スタッフが不足しているというので、応募しちゃったの。今すぐレンタルでエアバイクを2台借りれば、夕方にはウラール大修道院よ!」 …… その時、わたしは、自分が天使なのも忘れて思っていた。 (ジェーンって天使?それともマリア様?彼女との出会いが、わたし達を未来へと導いていく……) 人は皆、人生の旅人 旅先の出会いが、旅の流れを変える―― ――旅の舵を切る...
2017.03.20 04:57『天使の翼』第7章(46) わたしは、再度シャルルと顔を見合わせてから――シャルルは、首を横に振った――、完全に会話の主導権を握っているジェーンを見た。 「わたしが持ってるわ」 ジェーンはにこりと頷いて―― 「2級?」 わたしは、ちょっぴり誇らしげに―― 「1級よ」 ジェーンは、目を見開いて―― 「かっこいい!」 わたしは、いきなりジェーンに手をつかまれた。 「わたし、恥ずかしい……3級なのよ……中型者の一人乗りしかできな...
2017.03.08 16:57『天使の翼』第7章(45) 「ウラール大修道院、という名前には昨日ちょっと触れたかしら――」 ジェーンが説明を始めた。 「――大司教様のタイトルがいかに多岐に渡っているかを話した時に……」 わたしとシャルルは、すぐに思い出して頷いた。 「ウラール大修道院院長としての大司教様は、必ずこの行事に参加なさるのよ……何故だかはよく分からない。宗教上の重要なカリキュラムは他にいくらもあって、この感謝祭は、修道院の地元との友好関係が主...
2017.03.06 03:30『天使の翼』第7章(44) 「――年末のこの時期は、催し物の少ない時期だから、あまり選択の余地はなかったわ。大司教様がご臨席なさる催し物となるとなおさらね」 わたしとシャルルは、この言葉に思わず体を震わせた。ジェーンは、わたし達の期待をはるかに超えたビッグなイベントを探して、わたし達を喜ばせようとしたに違いない…… 「――それに、旅人であるあなた方がいつまでもアクィレイアにいれる訳でもないのだし……」 そう言って、ジェーン...
2017.03.01 15:37『天使の翼』第7章(43) 翌朝、アクィレイアの冬がまた確実に一歩近付いてきたかのような冷たい風の吹く中、わたしとシャルルは、再び朝の勤めを終えたジェーンと会合した。ジェーンには、昨日別れ際に、吟遊詩人であるわたし達が歌えるような催しがないか、心当たりをあたるよう依頼してあった……慎重を期してスカルラッティの名は出さずにだが…… 場所は、昨日とは違う別のカフェ――聖堂をはさんで反対側に位置している――ジェーンの示した道順は...