2016.10.31 04:46『天使の翼』第7章(9) ナルテックスは、玄関廊というより、それ自体が身廊本体と言ってよい程の広大な空間だった。天井はあくまで高く、遥かに小さく見える多数の天窓から、早朝のまだか弱い光が、無数の細長い柱をなして射し込んでいる……その窓ガラスには何らかの仕掛けがあるに違いなかった――光の柱は、まるでそれ自身の力学で天井を支えてでもいるように、垂直に射し降ろしているのだ。 シャルルの顔と体は、丁度その光の柱に差し掛かって、幻...