【グラースのパフューマー】――『天使の翼』第7章(11)投稿――
『天使の翼』第7章、11回目を投稿しました。
さて、今回の『天使の翼』作者を知る謎解き画像……
これは……ワイン……いやいや……。香水?いつもの謎解き画像に出てくるおなじみのサイドテーブルのようなものにのっているから……前の画像との縮尺関係からして……香水にしては、でかい……。
私は、ここで頭を切り替えた。何も私が読者と一緒になって悩む必要はない。今回の画像は、文字が読めるので、ネットで検索すればいい――ESTEBAN――
有名なメーカーだったらしく、一発でヒットした。香水は香水でも、ホームフレグランス、或いはルームスプレーというやつだ。何でも、南仏の有名な香水産業の聖地グラースのパフューマ―(調香師)が結集し、他の追随を許さない洗練された処方がなされていると……。ESTEBANのアイテムには、皆それぞれのストーリー、旅への憧れ・情熱が秘められているとも……。
グラース、香水とくると、映画好きの私は、2006年の『パフューム――ある人殺しの物語――』を思い出す――どうしても――。強烈な作品だったからだ。主人公が恐ろしく不気味でありながら、死と隣り合わせの情熱でもって究極の香りを探求する……鳥肌の立つ恐怖と耽美主義の見事な融合。……主人公を演じたベン・ウイショーの表情は作り物でなかった……ダスティン・ホフマンがまた、とてもいい味を出している。ジャンヌ・ダルクの時もそうだったが、ダスティンは、フランスが舞台の映画に実にはまる……
しまった、ここは映画のコラムではない。私は、いそいそと寝室に置いてある携帯を取りに行った。(今日は、既にもうだいぶ長く書いてきたので、いつもの煩瑣な両性表記は割愛して、以下作者の言葉は、全て女言葉で表記します)
「もしもし」
「何時間待たせるのよ!」
「えっ?」
「いつもは、ろくすっぽ考えもしないで電話してくるくせに!」
「そんな……」
「どう、調べはついた?」
「パ、パフューム……じゃなかった……ルームスプレー、なかなかいいと思うよ」
「……」
「……なんて言うか、ほら、香りって、その人の性格と密接な関係がありまして、その、人の性格を読む材料としては、つまり、この企画にぴったりの画像だと……」
「支離滅裂ね。言いたいことは分かったけど」
「(怒)」
「今日はヒントをあげてもいいと思ってるの」
「ヒ、ヒント?」
「わたしの一番好きな香り、ど~れだ?」
(こういう時、分からない素振りをすると、彼女、すごく怒る)
「え~と。テック・アンド・トンカ」
適当なる即答。
「ふふ、それを言うなら、テッケ・トンカよ。外れ!ノート・マリンでした!と・て・もセクシーなの。……まあ、写真で見てるだけじゃ分からないけどね。買って嗅いでみれば」
電話は、ブツン、と切れた。
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